脳内会議

考え事が好きな人の頭の中身

悲しい花火の思い出

ちょうど一年前の夏、私は二つの花火を見た。

 

一つは私の地元の花火だった。

楽しみにしていた花火だったけれど、最後は悲しい涙で終わった。

 

もう一つは当時住んでいた家から見た花火。

その家に引っ越すときに、夏にはベランダから花火が見れそうだと、心から楽しみにしていた。

二人でベランダからお酒を飲んで花火を見るのが夢だった。

花火当日、想像していた以上に大きな花火が、ベランダから見えた。

でも、その花火は一人で見る事になった。

 

私は初めて、花火を見ながら号泣した。

嗚咽が止まらなかった。

ベランダから花火が見れて、しかもそれが思いの他大きく見れて、嬉しいはずだったのに。

どうして私はこれを一人で見ているんだろうと思った。

その日、私の心は折れた。

 

今でも去年の夏を思い出すと苦しくなる。

とても楽しみにしていた夏のイベントが、両方とも悲しい思い出に変わってしまった事が、いまだに心のわだかまりになっている。

 

今年はそんな悲しい思い出を上書きしたいと、改めて地元の花火大会に行った。

友人とお酒を飲みながら見た花火は、去年とさして変わらなかった。

去年と変わらず花火はとても綺麗で、私の悲しい思い出が上書きされることはなかった。

 

そうだった。

私はもともと記憶の上書きが出来るタイプの人間ではなかったんだ。

だったら、この悲しい思い出はどうやって薄めていけばいいんだろう。

 

もうすぐ8月が終わる。

夏が、終わる。

 

私はまた、一歩も進むことが出来ていないような気持ちのまま、新しい季節を迎える。

新しい季節では、いったい何が起こるだろう。

後ろを振り返ったら、実は結構前に進めていた、なんて事は起きるんだろうか。